介護保険によるサポートの限界と現状

みなさんは、要介護度ごとに介護保険のサポートの支援額が定められているのをご存知でしょうか?生活を1人で行うのは困難で、食事や排泄にも介助が必要なうえ徘徊などの問題行動が見られるケースは、最も重い要介護度5が認定されます。徘徊などの問題行動が無くても、寝たきりで1人では立ち上がって歩行できない場合にも、要介護度4や5が認定されることもあります。現状ではこうした寝たきりの要支援者が多く、高額の支援を受けているのです。結果として、保険料と税金で成り立っている介護保険は、社会福祉財政を圧迫している事実を否定することはできません。

そうでなくても、少子高齢化で若年層が減少し、財政難となっていることは周知の通りです。若年層の負担をこれ以上増加させることは難しいでしょう。また、介護職の報酬があまりに少ないことも人材不足の大きな原因となっており、看過できません。これ以上介護従事者が減少すると、高齢者を支えることは困難になります。そこで、要介護度の認定基準が厳しくなり、要介護度の最も軽い要支援1と次に軽度の要支援2の介護保険利用者については、支援額の減額が検討されています。現状で要支援1か2の要介護度であっても、いずれ次の要介護1以降の段階に移行することはほぼ間違いないのですが、こうした支援の後退は要介護度の進行を早める恐れもあるのです。軽度の利用者であっても、身体やメンタル面のリハビリなど、要介護度の進行に応じたサポートが求められます。